消滅時効と相続  手続きは早めに

相続関連の御相談の中でときどき見受けられるのが、数十年前に他界した被相続人の遺産。
改正民法では消滅時効に関する定めにも改正がされています。
今回は商事ではなく、個人の方向けに相続と時効・期間制限についてのポイントを書きます。

◇ミニ知識 時効とは 消滅時効とは◇
♠時効とは
ある事実上の状態が一定期間継続した場合に、真実の権利関係にかかわらず、継続してきたその事実状態を尊重して、権利の取得や消滅の法的効果が生まれること。
・取得時効
・消滅時効
(・公法上の時効)
♠消滅時効とは
ある権利が行使されない状態が一定期間継続した場合に、その権利の消滅を認める制度。
権利ごとに規定される消滅時効期間が経過して時効が完成し、且つ当事者が時効を援用すると権利が消滅する。
例:飲食店が、顧客が支払わない代金を5年間そのまま放置し、請求もしなければ債権は原則として消滅する。

時効・期間制限と相続手続き

年金の時効 出典 日本年金機構HP

相続放棄の手続きについて、記事で目にしたことが数回あるのが
子供がまだ中学生のときに両親が亡くなり、生前の借入金について“相続放棄”という制度を知らず、周囲にアドバイスしてくれる大人が居なかった。
そのため家が競売にかかり、住むところも無い幼い子供が取り残された
という話です。
現代では子供でもスマホを利用して検索はできるのかもしれませんが、犯罪に巻き込まれないよう、区役所、市役所、警察、どの行政機関でもよいので行政の方から相談にのるようにしてほしいものです。
行政書士会を訪問してくれれば、職員が相談にのってくれるはずです。

たとえば不動産の相続登記は、被相続人の死後いつまでも登記申請が可能ではありますが、
すでに二次相続が発生しているケースも多く、法定相続人をたどって数十人の間で遺産分割協議を行うことは非常に困難です。
戸籍や住民票も一定期間経過後は廃棄されますので御注意ください。

遺族年金、その他の債権も時効で消滅したのでは、亡くなった方もがっかりなさるでしょう。
行政等の手続きに必要な入手すべき書類も複雑になるため、相続が発生したらまずは専門家に御相談ください。