固定資産税納付通知が
“だいぶ前に亡くなった親あて”に届いているならば

遺産分割協議書の作成や、
あとにのこされた配偶者の遺言作成、
相続した不動産の売却にetc. を承った際によくあるケースです。
役所からの固定資産税納付通知が、今も
「数十年前に亡くなったお父さんやお母さんあて」に届いている。

これに当てはまる方は、ぜひ不動産の相続登記をなさって下さい。
固定資産税は、その年の1月1日現在の「登記における所有者」に課税されます。

◇ミニ知識 不動産登記の義務もさまざま◇
古い家を解体した→「滅失登記」
リフォームで増築、減築した→「変更登記」
その後に新築すれば→「表題登記」

◇ミニ知識 登記されていない不動産だったらどうする◇
家屋を新築すると「表題登記」する義務がありますが、
古い住宅などで、その表題登記をしていないことがあります。
むろん、気づいてから表題登記~相続登記をすることも可能ですが、費用も日にちもかかります。
登記されていない不動産でも固定資産税は課税されています。
表題登記がされていな家屋を相続した場合は、管轄の区市町村の役所に所有者変更届を提出し、正しい所有者に修正してもらいます。

亡くなった親に納付書 そのままでは困るの?

相続登記をしていないままの不動産。
実際にどんなときにお困りになり、相談があるのか?
1. その不動産を担保にしてお金を借りる/ローンを組むとき。
  借入をする人/ローンを組みたい人、が担保にする不動産の所有者になっていないのでは、銀行もお金を貸してくれません。
  例えば、家のリフォーム、子供の学資、事業用借入など。
2. 不動産を売却するとき
  親が所有者のままでは、子供が売却することはできません。

抵当権の抹消登記をしていない これも後で困ります

すでに以前に全額を返済した住宅ローンなどに付けた抵当権設定登記。
不動産を抵当にした際は、登記簿の乙欄に記載されています。
返済しても、この抵当権の抹消登記は自動的にされるものではありません。

相続登記の申請には添付書類が必要

相続登記の申請は、シンプルなケースであれば事務系の作業に慣れた方であれば、御本人でも書類作成は容易です。
但し、相続のとき(親御さんが亡くなったとき)から長い年月が経過しているケースでは、添付書類の収集が難しくなっていることもよくある事です。

難しくなってしまう戸籍の取寄せ

わかっている法定相続人が1名であるときも複数名であるときも、その中で不動産を相続する相続人の権利が適正であることを証明する必要があります。

相続に争いがあるかないか、それは法務局にはわかりません。
そのため添付書類に拠って、登記の申請人が下記の点を証明します。
1. 法定相続人の全員
2. その全員が同意していること

上記の法定相続人の全員を確認するためには、被相続人(亡くなった人)の出生から死亡までの全ての戸籍を取り寄せます。
高齢の方であれば、その戸籍の種類が非常に多くなることは以前にもコラムに書いたとおりです。
種類が多いだけでなく、戸籍がデータ化される以前のものは一定の保存期間が経過した後に廃棄されています。


そのため、住民票除票が廃棄されていれば
→ 代替に「●●」、
というその書類も手に入らないことが度々あります。
そのため、何を入手するのか、入手可能な書類で登記申請ができるように、登記規則に精通した司法書士に依頼することが必要になるのです。
この戸籍の取寄せで、家族も知らなかった非嫡出子や前婚の子が判明することもあります。
前回のコラムを御参照ください。
「ほかにも子が居た。相続はどうする。」

※当事務所の業務に付随して、優秀な司法書士の御紹介もしております。

2の遺産分割協議書は、法定相続人全員が、この遺産相続の内容に同意しています、ということを証明する書類です。
不動産以外でも、遺産相続につき必要な場面が多いものです。
実際の御相談は問合せフォームからお問合せください。

まずは、亡くなった親宛ての納付通知が役所から届いていたら「何か手続きが必要だ」と思って下さい。
あまり放置していると、雲の上で親御さんが笑っているかもしれません。