一人法務 総務 総務法務を応援―8― 定時株主総会 [前編]
6月は株主総会シーズンです。
なぜ6月に定時株主総会が多いのか?
国、地方自治体の会計年度に合わせ3月決算の株式会社が多くあります。
そしてそのほとんどが、決算期から3か月以内の
今月、6月末に定時株主総会を開催するためです。
なぜ3か月か?という点については、下記のミニ知識を御参照ください。
株式会社と一口にいっても、株式の公開非公開、
取締役会の設置の有無、上場未上場、と
その形態により適用されるルールの内容は異なります。
それに加え上場会社では、市場によるルール、取引所の自主規制の遵守が要求されます。
しかし市場に上場している企業の場合は、監査法人だけでなく
信託銀行等の証券代行、証券印刷会社等との契約をしているはずで、
むろん顧問弁護士もいることでしょう。
開示・有価証券報告書・株主総会・株式事務等も、
会社は専門家から適切な助言を得ながら進めていくことになります。
このコラムでは、下記のような株式会社の
総務、総務法務などの担当部門にむけて記事を書くことにします。
・未上場である
・総務担当者が一人または少人数で法務を兼ねている
・株主が複数名(法人を含む)いる
・取締役会設置
・監査役設置(監査役会は置いていない)
・公開会社でない(=株式の譲渡制限規定がある)
・株主総会を適法に開催するなど、遵法を旨としている
・まだ管理部門に十分な人員数が揃っていない
前編では、株主総会を開催する担当者の視点で全体像を書きます。
それぞれに期日、特例などがありますが、ここではおおよそのフローを御理解ください。
~~~定時株主総会~~~
株主総会は、その準備作業をさかのぼって計画し、
招集、開催、議事録備置と進みます。
この準備が管理部門の担当者にとっては、労働時間、緊張感、
知識のブラッシュアップなど
非常な重労働になってしまうケースが多いようです。
◇ミニ知識 定時株主総会の日程
会社法第296条では
「決算後、一定の時期に定時株主総会を招集すること」が
定められています。
会社法によって、決算後3か月以内に開催、と定められているわけではありません。
但し、基準日を定めることで必然的に3か月以内になるのです。
会社は、定款の中で定時株主総会の開催時期を定めています。
【会社法第124条第2項】
基準日を定める場合には、株式会社は、基準日株主が行使することができる権利
(基準日から三箇月以内に行使するものに限る。)の内容を定めなければならない。
◇ミニ知識 基準日とは
「議決権行使ができる(賛否の票をいれることができる)株主である」
という”基準日”を決める場合には、
基準日から3か月以内に限って、その株主は議決権を行使できます。
株式の配当を受け取る権利等も同様に、
基準日に株主名簿に記載されている株主の権利です。
♠基準日を定めないままでは、株主総会当日に株式を取得した株主までも
定時株主総会において議決権行使ができるのか、
どの株主に配当金を分配するのか、と混乱することになります。
♠この基準日は、会社法上は自由に決めることができますが、
事業年度の最終日とすることが合理的です。
当事務所でも事業年度末日以外の基準日という企業は未だ知りません。
<定時株主総会の付議事項>
過去1年間の事業報告、決算承認、
他には、その年に必要となる事項、例としては取締役選任、
監査役選任、定款変更などを議事とします。
~~~~~次回は招集通知への記載事項、決議の種類、
議事録の記載事項などを書きます。