2024年の戸籍の話[氏名の振り仮名][性別変更]

戸籍に関する最近の話題2つを御紹介します。

1.氏名の振り仮名を戸籍に記載

令和6年9月10日の閣議決定で、戸籍に氏名の振り仮名が記載されるという改正法の施行が令和7年5月と決まりました。

一般的な興味として、キラキラネームなど当人や親族の認識する名の読み方が他人には難しいケースが果たして記載されるのかどうか興味があります。
思い浮かぶ例としては「春花」で「さくら」、「海」で「まりん」、etc.
記載受理される線引きは、窓口での受理作業における要領で明確に決められることと予想できますので、実例を待ちます。

<目的・趣旨>

法務省HP
(1) 各種規制の潜脱防止
複数の振り仮名を使用して別人を装い、規制を潜脱するケースが多くあるようです。
(2) 本人確認資料として
戸籍に振り仮名を記載することで、住民票やマイナンバーカードにも記載が可能になる。
正確に氏名を認識してもらえる。
(3) 行政デジタル化推進
例えば「上川」さんでも「うえかわ」「かみかわ」「かみがわ」どれなのか。
デジタル化では、これまで入力データの誤りが度々報道されましたが、振り仮名により検索が容易になるのではないかという点。

<本人がすること>

本制度が開始される際に各自治体から住所あてに、今まで住民票などで認識している振り仮名を通知する予定です。
それが自分の振り仮名と異なるときは、1年以内に正しい振り仮名を自治体に届け出ましょう。
届出をしないと、異なる振り仮名のまま戸籍に登録されてしまいます。自分の振り仮名のとおりであれば届出の必要はありません。
例としては「佳子」→「よしこ」「けいこ」「かこ」

2.「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」

<性別の取扱いの変更 手続き>

まず性別変更には家庭裁判所の審判を得ることが必要です。
裁判所のサイトで、申立手続の確認や申請書ダウンロードができます。

申立には要件がありますので、申立てる際は事前に確認なさって下さい。
裁判所HPより抜粋

要件のうち何点かは議論があり、広島高裁の決定(要件6)や、婚姻していても夫婦ともに同時に性別変更の申立をした例など、今後は変わっていく可能性があります。
なお、申立の手数料そのものは800円です。

<性別変更審判後の戸籍>

変更審判を受けた後には申立人を筆頭者とする新戸籍が編製され(戸籍が申立人単独のものである場合は新戸籍は編製されません。)父母との続柄欄が更正されます。
なお,従前の戸籍における他の兄弟等の父母との続柄欄は訂正されません。
詳しくは,市区町村役場でお尋ねください。

つまり、今まで両親や兄弟と同じ戸籍に入っていた人は、本人を筆頭者とする新しい戸籍が編製されます。

<影響を考慮しておく>

性別が変更された後には、さまざま手続きが必要になります。
・パスポート
・運転免許発行申請書
・健康保険証(国保ならば自動的に変更される自治体もある)
中でも年金。
年金記録上の性別記録は、原則として年金制度に加入した時点に遡って変更されます。
特別支給の老齢厚生年金のように、性別が条件に影響することもありますので予め認識しておくことが必要です。

行政書士をしていると、他の国家と比べ日本の戸籍制度が充実していることを感じる機会が多くあります。
また、本人の戸籍や住民票の取得が容易になってきたことも日本の良い点と感じます。
この改正が国民の毎日に資することを期待しています。

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