相続の注意点 解約しないと亡くなった後にも続く支払い
元気なうちに自分の関係先をリストにしておくことが重要
相続のための手続きはとても煩雑なものです。
それ以前の課題として、被相続人(亡くなった方)の契約先等の情報がわからないために相続人(子など)が認識するまで支払いが続いているケースが急増しています。
(1)発見しにくい遺産
・すべての銀行口座を網羅。特にネット銀行は発見が難しい
・信用金庫への出資金
・貸金庫の利用
・株式などの有価証券を扱っていた証券会社。特にネット証券
・住居とは別の不動産。
何十年も前に購入し使っていない土地や事務所として利用のマンション。
・駐車場やフィットネスジムの契約
・ゴルフ会員権
・サプリメントなど、定期で購入している品物
・生命保険、医療保険
◆ミニ知識◆ 住宅ローンの残額がある場合の相続はどうなるか
住宅ロ―ン契約を結ぶ際に団体信用生命保険に加入していることがほとんどです。
加入していれば契約者の死亡、高度障害の場合には保険金がローン貸付をした金融機関に支払われます。
そのため相続人は住宅ローンの残債の無い不動産を相続することができます。
次の点に注意が必要です。
1. 上記の保険またはそれに準じる保険に加入していたか。
2. 住宅ローンの延滞。
3. 夫婦・親子での連帯保証や連帯債務契約。
◆ミニ知識◆ 相続の方法と仕方の種類
住宅ローンに限らず、プラスの遺産とマイナスの遺産のバランスを踏まえ相続の種類を決めましょう。
《相続の方法》
1. 法定相続
法律の規定による相続人が、法定の相続分を受け取る。
2. 遺言での相続
被相続人の遺言に定められた内容で相続する。
3. 遺産分割協議による相続
相続人全員による協議で内容を決める。
《相続の仕方》
1. 単純承認
債務を含めて相続財産を全て受け入れる。
2. 限定承認
相続したプラスの財産の範囲内で債務と遺贈を支払う。
3. 相続放棄
プラス、マイナスを含めた全ての財産の相続を拒否する。
※ 2及び3は、相続開始後(知った日)から3か月以内に管轄の家庭裁判所に申述します。
相続人の間で「相続を放棄します」という書面を書かされただけ、というのでは法的に相続放棄したことにはなりません。
※実際のケースでは複雑な関係等(胎児・同時死亡・代襲相続・身分の重複、etc.)が起こり得ますが、各論は今後のコラムで書いてまいります。
(2)急増している“発見しにくい契約”
IDやパスワードがわからなければ手続きができない、または存在すら判明しない契約が多くあります。
解約しなければずっと支払いが続きます。
・PC、スマホのログイン情報
・有料アプリ
・動画配信サービス
・ケーブルテレビ
・ネットプロバイダー契約
・ドメイン、レンタルサーバー契約
支払方法が銀行引き落としでなくクレジットカードになっている場合、利用明細をweb上で確認することが当たり前になっていますので確認することが難しくなっています。
準備として自分が元気なうちに遺言を作成し、同時にその時点での財産目録と各種IDとパスワードのリストを作成しておくことです。
財産一覧やパスワード等を、元気なうちに相続人(子、兄弟姉妹など)に渡してしまうのは不安があるというときには、行政書士のような専門家や信頼できる知人を遺言執行者に定め、必要な情報の保管場所をあきらかにしておくことをお勧めします。
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