再び 尊厳死宣言書について

※本コラムは”延命治療を受けたくない”という考えの方に向けた内容です。
気持ちは人それぞれ。
誰にでもお勧めしているわけではありません。

先日、tverでBSフジのドキュメンタリーを観ました 。
「最期を選ぶということ~安楽死のない この国で」
安楽死の問題は軽々に意見を述べることができない問題です。
不断の痛みに何年も耐えてきた御本人でしか決めることができない、自分の最期です。
それについて、人によりさまざまな考え方があるのは当然でしょう。

■「尊厳死」と「安楽死」は全く別のもの■ 

「安楽死」は、末期患者の苦痛を除去し,死期を早めることを目的にしています。
「尊厳死」は、回復する見込みがなく死期が近づいているときに(原因は疾病・外傷・その他なにであれ)無理に心臓だけを動かすための延命治療を拒否し、つまり死期を無理に引き延ばさず、自然に、人間としての尊厳を保った状態で亡くなることです。

【参考】公証人連合会HP
Q3. 「尊厳死宣言公正証書」について、説明してください。

尊厳死宣言書は延命治療を受けたくないという考えの人が、自分の意思を伝えられない状態になったときでも自分の意思を明確に表示することが目的です。
誰かに強いられたり、偽造されたものではなく、内容を正しく理解したうえで本人の意思であることを証明する目的で公正証書にしておきます。

■あらためて尊厳死宣言書を作る目的■

1.家族が“突然”事故の被害者になり自分では意思表示ができず脳死の状態になってしまったとします。
病院にかけつけた家族は「何もしないとすぐ亡くなってしまうので救命措置をします。」と医師から言われたら、突然の事態に心情的に延命治療にすがってしまうでしょう。
人工栄養、人工呼吸、人工透析
そのときに尊厳死宣言書があればそれを医師に提示できます。
2.人を治療することが医師の使命ですから、延命を方針とするのは当然です。
しかし、いったん延命治療を開始してしまえば、それを中止することは容易ではありません。
本人の意思で延命を拒否するという証明が無ければ、遺族から訴訟を起こされるおそれもあります。
3.人の死は、相続や事業承継など、現実的な問題につながることもあり、真実に本人の希望であるのかを証明するのは重要な点です。
そのため、尊厳死宣言書を公正証書にしておくのです。

■尊厳死宣言に何を書くか■

公証役場のHPに文例が載っていますが、細かい箇所は御本人の希望で調整しましょう。
一般的には次の項目を記載します。
・●●の状態になったら延命治療はしないこと。
・痛みを軽減する治療はしてほしい。
・◇◇の治療は受けたい/受けたくない
・親族には尊厳死について理解されている/いない
・自分自身の希望なので、後になって遺族が担当した医師や医療関係者を訴えるようなことはしない。

■作成のフロー■

原稿作成
 ↓
公証人による確認
 ↓
修正や調整(あれば)
 ↓
公証役場の予約
 ↓
公証役場へ行き公証を受ける
作成後には家族や親しい知人に預けるか、いざという時にみつけやすい場所に保管しておきます。
公証番号を、保険証と一緒に携帯することもあります。

■病院でのACP(アドバンス・ケア・プランニング)■

入院中であれば、医療従事者と話し合って、事前指示書(名称は病院により異なります)を作成しておくことが一般的になってきました。
ACPとは、終末期に受ける医療について予め本人・家族など・医療従事者が話し合っておくことです。
専門家の説明を受けながら検討できます。

【参考】人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン
厚生労働省HPより

■たまにある質問■

Q.  脳死と植物状態は同じこと?
A.  脳死と植物状態は違います

岡山県臓器バンクネットより引用

※当事務所では遺言作成を承っており、
クライアントそれぞれのお考えがありますので、むやみに尊厳死宣言をお勧めすることはありません。

終活に関する御相談は問合せフォームからお気軽にどうぞ

We also assist with drafting “a declaration of death with dignity” in English, as well as with notarization procedures in Japan.
Please feel free to contact us for further information.

The purpose of notarizing “a declaration of death with dignity” is to certify that the person’s wish not to undergo life-prolonging measures is his or her own. In other words, even a notarized Declaration of Death with Dignity is not legally enforceable in and of itself. However, it is said that 90% of physicians now comply with the Declaration of Death with Dignity when it is presented to them. It is a good idea to have a copy of your notarized Death with Dignity Declaration available to your family or close acquaintances, or to have it readily accessible in case of an emergency.