一人法務 総務 総務法務を応援―17―契約書[3]―
NDA 機密保持契約は必要か 会社のリスク管理

◇ミニ知識 士業の機密保持義務◇
もともと行政書士、弁護士、司法書士などの士業に就いている者には、
業法により機密保持が義務付けられています。
但し、クライアント側の御要望はそれぞれです。
社内の情報管理規程により
機密保持誓約書を必要となさる場合もあります。
当事務所では機密管理を適正におこなっている点を明確にするため、
ヒアリング段階で機密保持の誓約書をお渡ししております。

(参考)行政書士法 第12条 (秘密を守る義務)
行政書士は、正当な理由がなく、
その業務上取り扱つた事項について知り得た秘密を漏らしてはならない。
行政書士でなくなつた後も、また同様とする。

よく目にするプライバシーマークは個人情報保護に限定されたものですが、
企業の規模にかかわらず事業を運営している中で
個人情報、顧客情報、営業機密、特許等の知財、
会計情報など、多くの機密情報が存在します。
機密保持契約なしに開示した場合、
相手方によって漏洩、不正利用をされてしまっても
それを争う際に不利になってしまいます。
また、相手方が開示した情報のなか、どこまでが機密なのか、
自社サイドの義務も正しく理解しなくてはなりません。

◇ミニ知識  “営業秘密”とは 不正競争防止法の三要件◇
1.秘密管理性:秘密として管理されていること
2.有用性:有用な営業上又は技術上の情報であること
3.非公知性:公然と知られていないこと
(参考)不正競争防止法第2条第6項
この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、
販売方法その他事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。

この不正競争防止法で定義されている営業機密を根拠にアクションを起こす場合、
社内規程の整備、情報管理体制、従業者の研修 etc. の前段階が必要といえます。
この要件に該当しなければ、不当競争防止法に基づく
損害賠償や差止め請求ができないということでは会社の実務として意味をなしません。

それらの準備は完了していないが
「今すぐできる、会社の秘密情報を保護するには」
という場合にも役立つのが
NDA(Non-Disclosure Agreement) 機密保持契約の締結です。

♠簡単な機密保持契約書
【機密保持契約書に記載する基本的項目】

 

1.頭書き
 当事者名称
2.目的
 NDA締結の目的
  e.g. 事業提携の検討、業務委託契約など
3. 定義
 ・機密情報に該当する情報の定義や範囲
 e.g. その内容、機密として表示してから開示する、情報媒体の種類など
 ・機密情報に該当しないもの
4. 情報管理の方法
 ・開示を受けた側の情報管理体制
 ・情報の複製、廃棄、返却等に関する事項
 ・情報管理責任者
5. 開示を受けた側の情報管理体制についての要件。
6. 開示を受けた情報に関する保護の義務。
7. 損害賠償について
8. 解除について
9. 有効期間
 e.g. 「〇年〇月〇日~〇年〇月〇日まで」
 「●●契約(元となる事業契約)の有効期間満了/終了まで」
 または「(、元となる事業契約の)終了後▲か月後まで」
 などと規定します。
10. 信義則

下記は経済産業省の公表しているハンドブックです。
基礎的な考え方の理解に便利です。
経済産業省 秘密情報の保護ハンドブック

当事務所では、クライアントの実態に合わせた契約書作成を承っております。
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