一人法務 法務総務 総務を応援―12-外国人の雇用・採用[前編]
海外進出をする、という企業や個人事業が増えました。
インターネットによって自社独自で海外の顧客に対して販売する「個人輸出」
という形態も今では当然のようになってきました。
その際には許認可、知財、関税などの留意点は確認して“商売”をしているはずです。
逆の視点から見て、海外業務以外にも
日本の企業が外国人従業員を雇用する必要性が高まっています。
大企業ではグローバルHR部門をおき、
海外拠点での人事、日本拠点での外国人雇用など、
特化した担当者がいます。
今回は下記の視点でコラムを書きます。
・特化した外国人採用部門は無い。
・技能実習制度や特定技能といった制度利用ではなく、
・特定の分野における高度人材をヘッドハンティングするようなケースでもなく、
一般的な個人を日本の企業で採用・雇用する場合の
外国人の雇用、採用について基礎知識をお伝えします。
タイミング良く、労働新聞の記事をみつけました。
労働新聞社 HPより引用 2019年9月9日記事
在留管理基盤強化へ 雇入時にカード番号報告 労政審答申
労働政策審議会(鎌田耕一会長)は、
外国人の在留管理基盤強化に向けた対応を盛り込んだ
労働施策総合推進法施行規則改正案について、
厚生労働省案を「妥当」と答申した。
外国人の雇入れ時と離職時に
企業が提出する外国人雇用状況届出の記載情報として、
在留カード番号を追加する。来年3月1日施行。
外国人材の受入れが拡大するなか、
在留・勤労状況を正確・確実に把握し、的確な在留管理を行うことが
これまで以上に重要になってくることが想定される。
そのため、在留カード番号を含めた外国人雇用状況届出状況を
法務省と厚労省との間で情報共有し、
より一層適切な雇用管理と在留管理を図る。
少し以前には築地場外にある有名な玉子焼き専門店で、
雇用していた外国人従業員が正しい在留資格を保有しておらず、ニュースになっていました。
【正社員として採用を検討する場合】
<応募受付・採用検討フェーズ>
1. 職種に該当する正しい在留資格を保有しているか。
または、採用する場合に当該資格を取得できる要件を満たしているか。
┗ 在留資格の種類とその活動内容の合致を理解するのは、難しいものです。
専門家である行政書士にお問合せください。
2. 確認書類
2-1 パスポート
2-2(中長期在留者の場合)在留カード
┗ 在留資格、在留期限、就労制限などを確認する。
2-3 履歴書
その他、社内規程で定めた応募書類一式
よくある企業サイドの誤解
・パスポートを確認したので大丈夫。
・すでに勤務している会社で、当社と同じような職務をしているから大丈夫
(すでに前勤務先で在留資格と一致しない就労をしてしまっているケースは多い)
・当社の外国人社員の友達だから信用した。
(各国コミュニティ内での友達の友達のそのまた・・・。
入管に行った際に知り合うなどの薄い人間関係も多い。
そもそも外国人自身は日本の入管法に詳しくないことが一般的。)
・給与が安くてもいいと本人が言ったので、
同一職の日本人より低い給与にした。
<企業サイドの適正な対応>
1. 日本人社員と同等の労働条件
同一職務の日本人社員と同等以上の労働条件
2. 社会保険類の適正な加入。
3. 国籍により異なる国家間の協定など、年金や社会保険に関する説明
◇ミニ知識 社会保障協定とは
次の2点を目的として日本と他の国の二国間で締結する協定です。
①日本と本国での「保険料の二重負担」を防止するため、制度を二国間で調整する。
②年金受給資格の確保のため、両国の年金制度への加入期間を通算する。
2019年9月1日現在の締結国
(注)イギリス、韓国、イタリア及び中国は「保険料の二重負担防止」のみ。
♠協定が発効済の国
ドイツ イギリス 韓国
アメリカ ベルギー フランス
カナダ オーストラリア オランダ
チェコ(※) スペイン
アイルランド ブラジル
スイス ハンガリー インド
ルクセンブルク フィリピン
スロバキア 中国
♦署名済未発効の国 イタリア スウェーデン
日本年金機構のHPより引用
“同一労働同一賃金”は、正規、非正規など
雇用形態による不当な差別の無い待遇確保が目的ですが、
外国人労働者についても同様に考えるべきでしょう。
在留資格による基本ポイントは後編へ~~~~~