相続に関連し、実家が空き家になったまま残っている、
相続した土地が売れない、
生前に付き合いのなかった遠い遠い親族の遺した土地の固定資産税の納付通知が来た、など
まつわる問題は枚挙にいとまがありません。
実家の空き家 相続した不動産
◆聞いた話ですが、都心部、特に東京都中央区、港区、千代田区の空き家率(賃貸住宅を除く)が高いときは、
六本木ヒルズのような大規模再開発の準備期間という一時的な原因もあるようです。
用地確保(地上げ)から考えれば、10年以上かけて再開発することもあり得ます。
都内の空き家状況―東京都都市整備局 東京都の取組
都内の「長期不在等」による空き家の数は約15万戸。
残念なことに都心部以外では、2019年現在これといった長期不在の空き家対策はみつかっていないのが現状です。
対応策がないのなら、放置しておけばよいのでしょうか?
(1) 実家の空き家
都心部よりも郊外と地方に多い例。
学生時代から子は通学のために大都市に一人住まいをし、そのまま就職、
結婚して実家とは離れた地域に住んでいることは一般的な事例です。
両親が老人ホーム等の施設に入居した後、両親の没後、戸建ての実家をどうするか。
子が住むために残すことが理想ですが、多くの場合、子は仕事の都合があるため実家に戻ることができません。
もちろん、遺品整理をして、不動産を売却できるのであれば大きな問題にはなりません。
実家の空き家 4つの問題
1. 思い出があり、遺品整理すらできない。
┗ 週末ごとに実家に(今更ながら)通い、古い写真の整理などを何年も続けるようなことも珍しくありません。
2. 売却したいが買手がつかない。
┗ 残念ながら、売れる不動産ばかりではありません。
3. 賃貸に出したいが、リフォーム費用が必要。
┗ リフォーム費用の回収に何年かかるかを事前に計算。
4. 家屋を取り壊して更地にしたいが、固定資産税の減額が受けられなくなる。
┗ しかし家屋があっても適正な管理がされていない「特定空き家」に指定されると、
年内に状態を改善しなければ税の減額は受けられなくなります。
対応策がないのなら、放置しておけばよいのでしょうか?
実家の空き家 放置してはいけない理由
1. 上記の「特定空き家」に指定されれば固定資産税、都市計画税の減額の対象外です。
2. 放火被害、台風で屋根が飛んで近隣に被害を与えるなどの事故が起きれば、
賠償問題になります。
3. 不動産の所有者の死亡後から何年も経過することで、更に相続が発生して
居所のわからない相続人を含めて人数が膨大になることが多くあります。
その結果、権利関係が複雑になってしまうのです(例えば:所有権のうち256分の2の権利)。
処分できるチャンスが来ても、何十人もの相続人の同意を得ることは現実的に不可能になってしまいます。
つまり、売れるはずなのに手続きができない、というもったいない事態を招きます。
何ができるか
1. 遠方にある空き家は、空き家や土地の管理を業としている企業や
NPOなどを検索して利用するのも応急処置になります。
但し管理料金が発生します。
2. 空き家の相談窓口を設置している自治体もあります。
3. [行政書士の役割]
空き家の所有者の確認~相続人の調査を行います。
近隣の空き家で困っているが所有者が不明、という場合には御相談ください。
(2)住宅取得に関する税制改正
相続に関連した税制改正です。
「住宅取得等資金の贈与税非課税制度」が変わります。
①非課税制度の延長
平成26年12月31日を期限であった「住宅取得等資金の贈与税の非課税制度」は、
平成31年6月30日まで延長されます。
② 非課税限度額の拡大 ~最大3,000万円まで非課税~
最大非課税限度額が拡大され、良質な住宅であれば最大で3,000万円、
一般住宅では最大2,500万円が非課税になります。
金額を決める条件を簡単にまとめると下記のようなものです。
a. 適用される消費税が10%と8%のどちらか
b. 住宅用家屋の取得のための契約の時期
c. 良質な家屋、と一般住宅の別
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さて、下記は相続から離れて住宅取得に関する動向です。
日本は少子高齢化⇒若年労働者が減少しています。
人口は都市に集中し、地方の村落では住民が減少し続けています。
但し核家族化・単身世帯の増加により、人口減少にかかわらず世帯数はほぼ横ばいの状態。
消費税率アップにともない住宅ローン減税期間の延長など、政府の施策が用意されています。
1.国土交通省 すまい給付金
┗ 減税期間の延長、すまい給付金の対象となる所得階層を拡充し、給付額も最大50万円に引き上げる。
2.国土交通省 次世代住宅ポイント制度
┗ 税率10%で一定の性能を有する住宅の新築やリフォームに対して、様々な商品等と交換できるポイントを発行する。
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消費税が10%になる前の駆け込み需要で、マンションやビルの大規模修繕工事があちらこちらで行われています。
複数の交番(戸建てタイプ)でも足場を組んで工事をしているところを見ます。
今更ながらこのタイプの交番を観察してみると、意外なことに大都市の中でも
2階建ての小さな戸建て交番になっているものが多いことに気づきました。
自分の住まい、相続した不動産。
不動産や建築には意外な規制や法律があります。その点に留意し、専門家を上手にお使い下さい。