尊厳死宣言のすすめ2021年 参考図書も御紹介
「人間は生まれてきた瞬間から死に向かって歩いている」
有名な言葉です。
この新型コロナで、若い方も含め予想もしていなかった突然の最期を迎えている人が多くいらっしゃいます。
このような全世界を覆うパンデミックの状況は別にしても、生きている者はいつか亡くなります。
自分の最期、どこで、どのようにして迎えるのか、自分はどうしたいのか。
今までにも尊厳死宣言の勧めをコラムにしました。
「尊厳死宣言のすすめ」 2019年
たまたま2015年に刊行された書籍を読んだことをキッカケに、あらためて延命措置と尊厳死・平穏な死について考え、本コラムを書きます。
本コラム下欄では参考図書を御紹介します。
家族構成や事業、さまざまな要素によって考え方は人それぞれ異なります。
終末期でも病と闘い続け、少しでも長く生き続けたい人は治療を受けることが必要です。
反対に、治らない病との闘いはやめて自然のままに枯れたい人、
意識が無くても心臓を動かすだけの延命治療を受けたくない人であれば、自分の希望を元気なうちに明確に、法的に効果のある方法で表示しておきませんか。
今回のコラムは『延命目的の治療は受けたくない』という考えの方にむけて書いています。
個人的に避けたいのは次の状態です。
これはイヤ。
1.寝たきり
2.痛い・苦しい
3.意思表示ができない
4.健康に戻れないにも関わらず治療を続ける
◇ミニ知識◇ 自宅で亡くなったときにすること
現在はほとんどの方が病院で最期を迎えるようですが、御家族が自宅で亡くなることもあります。
自宅で亡くなる方には次の2つのパターンがあります。
1. すでに終末期であり、緩和ケア等の病院にかかりながら自宅で生活していた。
2. 何らかの原因(事件以外)で突然に死を迎えた。
どちらの場合も、自宅で亡くなった場合は次のように葬儀の準備まで進みます。
自宅で、明らかにすでに亡くなっている
↓
事件性が無いことを確認する
↓
死因が特定され
↓
死亡診断書/死体検案書が発行される。
↓
その後、役所に死亡届を提出し火葬許可書をもらう。
1.の場合は担当の病院に連絡をします。
2.の場合は警察に連絡をします。
無理な延命措置は受けたくないが「尊厳死宣言」を作成するのは何のためか
この10年程でDNARの承諾をとる病院が増加してきました。
但し、本人が意思表明できない状態であるときに
・本人は少しでも長く生き続けたいと思っているのか、
・または無理せず枯れたいのか
・遺産等で争いがあるのではないか、etc.
病院や医師の側では慎重にその意思を確認する必要があります。
◇ミニ知識◇ DNARとは
DNAR (Do Not Attempt Resuscitation) 蘇生措置拒否
終末期医療において心肺停止状態になった時に二次心肺蘇生措置を行わないこと
【参考】厚生労働省 人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスガイドライン
延命措置を拒否することは尊厳死の考え方と通ずるものですが、第一に本人の意思を確認、本人が意思表示できないならば家族の判断で病院が方針を決めます。
基本的に医師の使命というのは治療をして病やケガを治すことです。
万が一にも患者以外の人の意思・事情により判断を誤り、本人が治療を受けたいと考えている患者への治療・蘇生処置をストップしてしまうことは許されません。
また、医師が積極的な治療をやめることで、場合によっては刑事責任が問われることもあります。
尊厳死宣言(公正証書)
本人が意思表示のできるときに(若く、健康である時期を含みます)本人が延命措置・蘇生措置について、“自分で意思表示ができない場合はこうしてほしい”と明確にする文書です。
公正証書にすることで、本人の真実の意思であること・他者に強制されたものでないこと・本人確認が法的にみとめられます。
自筆で書いただけの文書では、本人の真実の意思だという証明にならず法的効力が発生しません。
公正証書での尊厳死宣言があれば、病院側では患者の家族や関係者からいわれなく訴えられる事態を避けることができます。
また、事前に家族に「私は延命措置を拒否したい」と伝え、家族も理解しているはずだった御家族の例も多くあります。
いざという場面で医師から「いま、この昇圧剤を服用させなければそのまま亡くなります。」と言われた御家族は本人の希望を無視して延命措置を受けさせることを選択しました。
そのため、御本人は拒否したはずなのに・・・・
※当事務所では終末期になったときに御本人が受けたい医療・受けたくない医療をお聞きし、御希望に合わせた内容の尊厳死宣言書の原稿を作成します。
書籍やweb上のひな形では個人の希望を反映させられないおそれがあります。
公証役場の手配も行ないますので安心してお任せ下さい。
御相談はお問合せページからどうぞ
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【参考図書】
口から食べられなくなったらどうしますか 「平穏死」のすすめ
石飛幸三 著 講談社文庫
この著者(医師)の書籍はいくつかありますがどれもお勧めです。
穏やかな死に医療はいらない
萬田緑平 朝日新書
その次に読むのに適しています。実際の医療措置についても概略がそれぞれ解説されています。
著者は緩和ケア診療所の医師。
犬に名前をつける日
山田あかね キノブックス
犬と一緒にするな、とおしかりを受けるかもしれませんが、特に第2章第3章の内容はまさに“自分で延命措置拒否か受けるかの意思表示ができない”状態、家族の思い込みによって身体的に苦しい治療を受けさせてしまうものです。
※当コラムは見境なく誰にでも延命措置の拒否をお勧めするものではありません。
御本人の希望を法的に有効な文書にする方途を御紹介しています。